こんにちは、かまぼこです。
今回の映画は、2016年アメリカドキュメンタリー映画の「ぼくと魔法の言葉たち」です。
この映画は、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた映画です。
自閉症のオーウェンは、2歳で言葉を失いました。
しかし、6歳で言葉が復活したのです。
果たして何がきっかけで、どのようにして言葉が復活したのでしょうか。
私も、ちくわの言葉が遅くて心配な日々を過ごしました。
今回は、オーウェンが言葉を発した過程を考察してきます。
人間の脳って不思議ですよね。
登場人物
オーウェン・サスカインド
23歳の自閉症の男性。3歳で言葉を失い、6歳でディズニー映画のセリフを話始める。
ロン・サスカインド
オーウェンの父。元ウォール・ストリート・ジャーナルの記者。
コーネリア・サスカインド
オーウェンの母。
ウォルト・サスカインド
オーウェンの兄。オーウェンより3歳年上の26歳。
エミリー
オーウェンのガールフレンド。3年間付き合っている。
あらすじ(ネタバレあり)
ネタバレありますよ~!
家族のホームビデオ動画。
ごく普通の幸せそうな4人家族のビデオ動画が流れる。
「おやすみなさい」と言う小さなオーウェン。
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大人になったオーウェン。
ディズニー映画のセリフを独り言のようにつぶやいている。
学校のクラスで、社会人になったときの心構えを勉強している。
来月には、学校を卒業してアパートで一人暮らしをする予定となっているオーウェン。
家に帰り、父ロンと今後の生活の話をしている。
オーウェンは、不安でもあり、楽しみでもあると。
自分の部屋に戻ると「ピーターパン」を観て映画の世界に入るオーウェン。
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家族のホームビデオ動画。
小さなオーウェンが父と「ピーターパン」のフック船長との戦い場面を再現している。
小さなオーウェンは、「僕はピーターパン、パパはフック船長」と話している。
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父ロンと母コーネリアの話。
当時、自分は30代はじめで仕事にも満足していた。
望みどおりの人生が実現しかけていた。
すべてがうまくいき、夢の生活だった。
しかし、突然3歳のオーウェンは、言葉を失ってしまった。
オーウェンの変化は、とても早いものだった。
夜中に目を覚まし、そのままずっと起きている。
運動スキルは低下していき、言葉の能力が損なわれてしまった。
意味不明なことを発し、言葉を理解しなくなってしまった。
専門の病院に連れて行くと、オーウェンは行動を観察された。
医師は広汎性発達障害だと診断した。自閉症とも。
当時は動揺し、精神的に打ちのめされた。
医師は、二度と言葉が戻らず、喋れない場合もあると。
オーウェンが言うには、当時は、言葉が音でしかなくなってしまったそう。
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初期のセラピーセッション動画。
小さなオーウェンは、多動で椅子に座ることすらできない。
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オーウェンの主治医の話。
ロンとコーネリアは、理想的な子供の将来像が打ち崩されてしまったので絶望していた。
90年代初頭の自閉症のイメージは、あまりよくなかった。
両親は、オーウェンが大人に頼らずに生きていく可能性を探していた。
自閉症の子供は、日常の過剰な刺激を処理できない。
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母コーネリアの話。
オーウェンには日常のすべてが、刺激となってしまう。
掃除機の音で、簡単なこともできなくなってしまう。
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卒業後の生き方について話し合う会にて。
オーウェンが一番心配なことは、1人暮らしで、何でも自分でやらないといけないことだと言う。
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兄ウォルトとオーウェンの会話。
ウォルトが1人暮らしのアドバイスをしている。
もし相談する人がいなければ、自分に電話して欲しいと。
オーウェンの将来が楽しみだとウォルト。
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父ロンと母コーネリアの話。
オーウェンが話さなくなって1年。
家族揃っての楽しみは、兄弟共に好きなディズニー映画を観ることだった。
ディズニー映画を観ている時だけ、オーウェンは静かで幸せそうだった。
兄ウォルトの話。
変わってしまったオーウェンとの絆を確認できる唯一のものは、ディズニー映画だった。
父ロンと母コーネリアの話。
「リトルマーメイド」を観て、オーウェンはジューサーボースとつぶやいていた。
ジュースが欲しいのかと思い、ジュースを渡しても飲もうとしないオーウェン。
アリエルが人間になる場面のセリフで、ジャストユアボイス(声をよこせ)がジューサーボースのことだと気が付いた。
ロンがオーウェンにジャストユアボイスと言うと、オーウェンがジューサーボースと答えた。
ロンは、オーウェンが1年振りに返事をしたと思ったが、医師によるとただのオウム返し(エコラリア)だと。
その後オーウェンは、また言葉を失った。
しかし、夫妻はオーウェンを自閉症から救おうと決めた。
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学校のディズニー・クラブにて。
オーウェンが”ディズニー・クラブ”を始めた理由は、たくさんの人と知り合って人気者になりたかったから。
今日は「ライオン・キング」のテーマソングをピアノで弾きながら、「ライオン・キング」を観る日。
観た後は、映画についてみんなで話し合う。
シンバのように親がいなくなった後、どうしたらよいか。
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父ロンと母コーネリアの話。
ジューサーボースから4年経っても、オーウェンは喋らない。
ウォルトの9歳の誕生日会が終わり友達が帰った後、ウォルトが涙ぐんでいた。
オーウェンはその様子を見て、ロンとコーネリアにこう言った。
「モーグリやピーターパンみたいにお兄ちゃんは子供でいたい。」
ロンとコーネリアは、自分達の耳を疑った。
そして悟った。
オーウェンは映画を通じて、現実の世界を理解しようとしていると。
ロンは、イアーゴ(オウム)のパペットを使って、オーウェンに話しかけてみると、
イアーゴ「オーウェン、お前でいるのはどんな気持ち?」
オーウェン「つまらいないよ、友達がいなから。」
ロンは嬉し涙をこらえながら、役に徹した。
イアーゴ「お前と俺が友達になったのは、いつだっけ?」
オーウェン「アラジンを観てからさ。」
オーウェン「お前は実によく悪知恵が働くな。(ジャファーのセリフ)」
オーウェンが映画のセリフを全部暗記していることに気が付いたロン。
この瞬間、ついに暗闇から光が差した。
オーウェンとディズニー映画のセリフで会話をはじめることができた。
オーウェンは、映画のクレジットも暗記していたので、読み方も覚えることができた。
主治医の話。
映画のキャラクターの表情が大げさだからこそ、オーウェンには理解しやすかった。
母コーネリアの話。
映画のキャラクターは時間が経っても変わらない。
オーウェンが頼れるのは、変わることのないアニメだけだった。
気持ちの表現にも映画が参考になる。
諦めない時は「ヘラクレス」。
友達が欲しい時は「ジャングル・ブック」。
人間になる気持ちを知るには「ピノキオ」。
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エミリーとオーウェンの会話。
オーウェンが花束と手紙をエミリーにプレゼントする。
エミリーがオーウェンに手作りのミッキーのネックレスをプレゼントする。
エミリーとオーウェンは同じ支援介護付きの住宅で各々一人暮らしをする予定となっている。
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ソーシャル訓練施設にて。
オーウェンの会話セラピーをしている。
相手の話を聞いて、適切に受け答える訓練。
エミリーとのメールのやりとりをチェックして、会話のパターンを増やしていく。
ディズニー映画の台本と現実世界の台本のズレを認識させていく。
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卒業前最後のディズニー・クラブにて。
ジョナサン・フリーマン(アラジンのジャファーの声優)が訪れる。
オーウェンとジョナサンが知り合ったのは、オーウェンの19歳の誕生日前に父と母とでNYのブロードウェイで「メリー・ポピンズ」を観たことがきっかけ。
ジョナサンが海軍大将役で、父が手紙を書いたらオーウェンの誕生日に電話くれたそう。
ジョナサンと映画のシーンを再現する。
次は、ギルバート・ゴットフリード(アラジンのイアーゴの声優)の訪れる。
オーウェンは歓びのあまり興奮する。
ギルバートが映画のシーンを再現する。
ギルバートにサインをもらうオーウェン。
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父ロンと母コーネリアの話。
オーウェンが、ワシントンのラボ・スクールに転校したときの話。
学費は高かったが、仕事が順調だったので何とか通わせることができた。
学習障害やADHDの生徒が多い学校だった。
オーウェンは暫定的入学だったが、学校を落ち着ける場所にさせたかった。
しかし、初日から上手く馴染めなかった。
校長には進歩がないと言われ、退学を勧められた。
オーウェンは落ち込んだ。
その後、1年ほど自宅で学習して、特別な支援ニーズのある学校に入学した。
オーウェンはひどく内気になり、苦しそうだった。
オーウェンは、学校でいじめに遭っていた。
オーウェンは、暗闇の中にいた。
(ノートルダムの鐘でカジモドが痛めつけられる場面の映像)
いじめから数週間後、オーウェンは地下室で絵を描いていた。
スケッチブックにはディズニー映画の脇役でいっぱいだった。
スケッチブックに「僕は脇役たちの守護者」「1人の脇役も見捨てない」とメモがあった。
オーウェンは、脇役達の物語「迷子の脇役たちの国」を書いた。
脇役たちがオーウェン自身を支える役の自叙伝だった。
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湖で泳いで遊ぶオーウェン一家。
兄ウォルトの26歳の誕生日を家族で祝っている。
ウォルトは現在の一人暮らしに満足している。
ウォルトは、いつか自分がオーウェンと両親の面倒を看ることになる将来を考えているが、心では葛藤している。
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オーウェンの卒業式。
母コーネリアは、過去を振り返り涙している。
家族から祝福を受けるオーウェン。
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オーウェンが実家を引っ越す日。
「ダンボ」の荷造りのシーンを観るオーウェン。
ディズニー映画のビデオを大事そうにダンボールに詰めるオーウェン。
荷造りの最中、エミリーからもらったネックレスのミッキーが無くなっていることに気が付く。
パニックになるオーウェン。
母コーネリアが落ちていたミッキーを見つけてくれて、ひと安心。
実家から120㎞離れた支援介護付きの住宅に到着する。
4人が別々に居住できる施設。
真っ先に、ディズニー映画のビデオを収納する。
両親がオーウェンを残して実家に戻ると、オーウェンの1人暮らしがスタートした。
早速、薬の場所が分からなくなる。
「バンビ」で母との別れのシーンを観るオーウェン。
支援者に助けてもらいながら生活する。
料理、薬の管理、お金の支払い、散歩の付き添い、仕事の斡旋、郵便ボックスが開かない時などに手伝ってもらっている。
ガールフレンドのエミリーも引っ越してきた。
一緒にクッキーを作って映画を観る2人。
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ウォルトとオーウェンの会話。
ウォルトがエミリーとの関係を心配している。
ディズニー映画には、現実の”大人な部分”は描かれていない。
オーウェンは、ディズニー映画の世界で生きている。
ウォルトは、”大人な部分”を教えてあげる方法が思いつかないという。
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映画館で就職の面接をするオーウェン。
志望理由は、映画が大好きだから。
週に20時間働く希望を伝える。
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ワシントンのウォルトが話す。
ケースワーカー同席で、オーウェンがエミリーと別れたと。
エミリーが言うには、オーウェンがあまりに近すぎるので距離を置きたいそう。
ウォルトはオーウェンを心配している。
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エミリーに遠くから話しかけても無視されるオーウェン。
ショックを受けているオーウェン。
母コーネリアに電話し、人生はなぜ辛いの?と相談する。
コーネリアは人生には不公平なことがたくさん起きるけど、現実と向き合えば、やがて良い方に進んでいくと。
「アリエル」を観て悲しみに浸るオーウェン。
ケースワーカーに日記を書くことを勧められるが、エミリーが忘れられないとパニックになる。
絵を描いて落ち着こうとする。
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フランスの自閉症の会議で、オーウェンにスピーチしてほしいと依頼がある。
スピーチの内容を考えるオーウェン。
両親とフランスを訪れる。
会場の入り口で、タバコの臭いが苦手で戸惑う。
いよいよスピーチは始まる。
緊張の中、最初に言葉が出るまでに少し時間が掛かったものの、
「自閉症の人は、他人との関わりを嫌うと思われますが間違いです。」
と見事なスピーチで終わる。
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ウィルトがオーウェンのアパートを訪ねる。
エミリーに、「ネックレスは外したけど、大親友になりたい。」とメールしたと。
ウォルトは、メールの内容を称えた。
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アパートの入り口で、エミリーにばったり会うオーウェン。
エミリーと挨拶を交わすことが出来た。
オーウェンは、失恋を乗り越えることができた。
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映画館で仕事をするオーウェン。
入場券を切る仕事をしている。
大人になるのが怖かったオーウェンは、現実は違ったと確認できた。
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父ロンと母コーネリアの話。
老いていくことが怖いのと、オーウェンが自立できるかと心配していた。
オーウェンは、失敗や挫折の経験を恐れないことが大事。
しかし、もう以前ほど心配いらない。
きっと大丈夫と。
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オーウェンの話。
将来は、分からないけど、子供時代は、もう終わった。
でも僕は大丈夫。
(シンバの雄叫びの映像)
まとめ
今回は、2016年アメリカドキュメンタリー映画の「ぼくと魔法の言葉たち」をご紹介しました。
私も小さい時から現在まで、同じ映画を本当に繰り返し観ています。
小さい時は、映画を基に知識を増やす作業をしていました。
セリフはもちろん、人の仕草、表情、声の調子、音楽など映画から得られる情報を自分のものに落とし込んでいきます。
今でも無意識に映画の仕草が出てしまう時があります。
また、繰り返し観る映画は絶対に同じパターンで進むので、心地がよいのです。
その時の感情に近い映画を観るのも、とてもよく分かります。
だから今回、映画を繰り返し観るオーウェンに親近感を抱きました。
そして、ちくわのおかげで、言葉が出なかった時の両親の気持ちもとても理解できます。
このような感情は、国境を越えるなとつくづく思います。
オーウェンの今後に幸あれ!
ちなみに、私が一番多く観ている映画は「ターミネーター2」です(笑)