こんにちは、かまぼこです。
今回の映画は、2009年日本映画の「ぼくはうみがみたくなりました」です。
この作品は、文部科学省選定、厚生労働省推薦、映倫年少者映画審議会推薦作品だそうです。
つまり、教育関係のお勧め映画ということですね!
また、この映画には目や耳が不自由な方にもお楽しみいただけるよう、音声ガイドおよび日本語字幕が収録されています。
この音声ガイドがとても分かりやすく、音声ガイド付きで視聴すると内容がとても理解し易かったです。
自閉症の青年を中心に、家族、兄弟、出会った人たちの心情が丁寧に描かれています。
青年は、一体何を伝えようとしていたのか。
この映画は、見返す度に新しい発見がありました。
映画の中の青年は言葉が少ない代わりに、1つ1つの細かい描写を読み解く面白さがあります。
心の表現は、言葉だけではありません。
何とも優しい、ほっこりした気持ちになる映画です。
登場人物
門倉明日美(大塚千弘)
血が苦手の看護学生。今後の進路を悩んでいる。
浅野淳一(伊藤祐輝)
自閉症の青年。療育手帳には、3度(中度)と記載あり。いつも運転免許試験の問題集を解いている。
北嶋和也(伊藤祐輝)
淳一にそっくりな明日美が好意を持つ同級生。水泳部員。白血病で亡くなる。
吉田慎之助(秋野太作)
淳一が通っていた幼稚園の園長先生。胃癌で胃を半分切除した。城ヶ島に特別な思いがある。
吉田ハル子(大森暁美)
慎之助の妻。
浅野瑞江(石井めぐみ)
淳一と健二の母。
浅野健二(小林裕吉)
淳一の弟。
安西香織(松嶋初音)
淳一と同じ作業所に通う詩織(脳性まひ)の妹。
あらすじ(ネタバレあり)
ネタバレありますよ~!
高校時代の明日美。
水泳部の練習を、校舎の非常階段から見ている。
水泳部を体調不良で休んでいる男子生徒の北嶋と卒業後について、会話をしている。
卒業して運転免許を取得したら、一緒にドライブに行こうと北嶋に言う明日美。
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現在。
停車した黄色のステップワゴンの運転席から、高校のプールを眺めている明日美。
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淳一の部屋。
本棚の上にきれいに色分けされて並べられたミニカー。
メトロノームの音に合わせ、運転免許の問題を解く淳一。
弟の健二が部屋に入ってくる。
健二はオートバイの免許の問題集を淳一の前で開くが、淳一は興味を示さない。
健二はメトロノームを止めるが、すぐに淳一がメトロノームを再開させる。
健二はメトロノームを再度止めて、メトロノームを本棚のうえに移動させる。
健二が「淳一の知らない問題見つけた!」というと、淳一は即座に健二の問題集に回答を書くと、すぐにまた自分の問題を解き始める。
母の瑞江が、掃除機を持って淳一の部屋に入ってくる。
瑞江が「淳ちゃん、お散歩行ってもいいよ」と言って、掃除機をかけ始める準備をしている。
淳一は、掃除機の存在に気が付いて、慌てて耳を塞ぐ。
淳一は、耳を塞ぎながら、掃除機のコンセントを引っこ抜く。
瑞江は、コンセントを差し込み、お構いなしに掃除を続ける。
淳一は、耳を塞ぎながら、急いでウエストバックに筆記用具・問題集・療育手帳・黄色のステップワゴンのミニカーを入れてマンションを出る。
ドアの外に出て、ホッとする淳一。
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マンションの屋上。
明日美が遠くを見ている。
明日美が振り返ると、淳一がジャンプを繰り返している。
明日美が淳一に近づいて様子を伺っていると、淳一が亡くなった同級生の北嶋とそっくりで驚く。
急に淳一がジャンプを止めて、不意にしゃがんで何かを凝視する。
淳一はウエストバックを身に着け、明日美には気付かない様子で、振り返って歩いていく。
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健二の部屋。
健二は、オートバイの免許の問題で悩んでいる。
瑞江が問題の解説をして、「頭の中身が淳ちゃんと逆だったら、一発合格だったのにね~」と言って、掃除機を置いて健二の部屋を出ていく。
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マンション前の道。
明日美の黄色のステップワゴンが停めてある。
淳一がステップワゴンの後ろに立ち、ノートに何かを書いている。
明日美は、気になりながら運転席に乗り込む。
エンジンをかけ、ルームミラーを見ると、淳一がこっちを見て立っている。
明日美は、その姿に戸惑う。
雨が降ってくる。
淳一は、車の前に移動する。
運転席の前に立つ淳一は、雨に濡れたまま明日美をじっと見ている。
明日美は「濡れるよ。助手席空いてる。ドライブ行かない?海とか。」とつぶやく。
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ステップワゴンでドライブに出かける明日美と淳一。
淳一は、助手席で濡れた髪をハンカチで拭いている。
明日美が話しかけても返答がない淳一。
淳一は、ひたすら外の景色を見ている。
横断歩道で、詩織の母がステップワゴンに乗っている淳一に気が付く。
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高速道路を走行する明日美。
追い越し車線に車線変更する明日美。
淳一がスピードメーターに目を向ける。
突然、ダッシュボードを手のひらで叩き始める淳一。
落ち着かない明日美は、減速して走行車線に戻る。
淳一は、スピードメーターを確認すると落ち着く。
明日美は、また加速して追い越し車線に入る。
淳一は、目を見開いてスピードメーターを覗く。
今度は、ダッシュボードを拳で叩き始める。
明日美がさらにスピードを上げると、更に早く叩き始める。
明日美がスピードを下げると、淳一は何事もなかったように落ち着く。
淳一が明日美を見て、体を揺らしながら嬉しそうに笑い始めると、突然「おしっこ!」と言う。
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明日美は、海岸近くの公衆トイレに寄る。
トイレでは、初老の男性(慎之助)が用を足している。
淳一は、その隣で用を足す。
慎之助が淳一のオナラの音を聞くと「元気な挨拶」とつぶやく。
淳一「げんきなあいさ つ。おはようございまーす。」
「げんきなあいさ つ。こんにちはー。」
「げんきなあいさ つ。こんばんはー。」
「げんきなあいさ つ。ただいまー。」
「げんきなあいさ つ。おかえりなさーい。」
「げんきなあいさ つ。おやすみなさーい。」
「おしっこ おしまいでーす。おわりでーす。またこんど。」
と言って去っていく淳一。
慎之助は、用を足しながらそんな淳一を眺めている。
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公衆トイレの外で、初老の女性(ハル子)が慎之助を待っている。
慎之助が出てきて、淳一に名前を聞く。
淳一「じゅんちゃーん」
慎之助「じゅんちゃん、お母さんかお父さんは?」
淳一「お散歩行ってもいいよ~」
淳一はハル子を見て、そのまま通り過ぎていく。
淳一は、明日美のステップワゴンが見える位置にまで来ると、ウエストバックからステップワゴンのミニカーを取り出して、手すりに置く。
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淳一が明日美のステップワゴンに乗り込む。
その様子を慎之助とハル子が見ている。
明日美「何かしました?」
慎之助「海が好きみたいですね。」
明日美「あっ、はい。」
ハル子「他にもごきょうだい、いらっしゃるの?」
明日美「えっ?あ、いえ。」
ハル子「素敵なお姉さんね。2人きょうだいだと、いろいろと大変でしょ?」
明日美「はぁ、たぶん・・・」
慎之助「一緒に暮らしてる弟でも障害を持っていると、いろいろ分からないこと多いんだろうなぁ」
明日美「しょ、障害?」
慎之助「ねぇ」
明日美「はぁ、まあ・・・」
慎之助「さて、行くか。」
ハル子「はい。」
明日美が、慎之助とハル子に目的地の城ヶ島まで車で送っていきましょうかと誘う。
誘いに甘える慎之助とハル子。
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商店街を歩く健二。
香織と待ち合わせをしている。
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ステップワゴンの車内にて。
車内で自己紹介をし合っている。
明日美は看護学校に通っていること、
慎之助は胃癌で入院して胃を半分切除したこと、
そして、退院直後だということ。
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健二と香織が障害者に関する映画を観ている。
香織は泣いているが、健二は白けている。
映画の後の喫茶店にて。
香織「あのようなシーンでも、浅野君、わりと平気なんだね。」
健二「どうでもいいから。」
香織「どうしてつきあってくれたの?」
健二「誘われたから。」
商店街を歩く健二と香織。
進学について話している。
香織「どっちにしても、OTかPTの資格だけは取るつもり。」
健二「俺は嫌だな。兄貴の影響を受けたくない。」
香織「私も、お姉ちゃんが脳性まひじゃなかったら、どうだったか・・・」
きょうだい児としての責任について、話す香織。
健二「あのさあ、俺が、安西と同じこと考えていると思うなよ。うちの兄貴をプレゼントしてやろうか?」
香織「最低。」
香織は健二を置いて去っていく。
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作業所のバザー会場。
詩織親子と一緒に手作りの小物を売っている瑞江。
瑞江「うちの淳ちゃんはどこで何やってんのやら。」
詩織の母 「黄色のステップワゴンに乗っていたわよ。」
瑞江「ステップワゴン?黄色?淳ちゃん!携帯・・・」
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ステップワゴンの車内。
ハル子「何で看護師さんにならないの?もったいない?」
明日美「血が苦手なんです。」
ハル子「自信喪失?」
明日美「考えれば考えるほど、自閉症になっちゃいそうで・・・」
慎之助「はあ?」
明日美「はい?」
顔を見合わせる慎之助とハル子。
目的地に着いて車を降りる、慎之助とハル子。
ハル子から、お礼をもらう明日美。
淳一のお腹が鳴る。
お店でカレーを食べる淳一と明日美。
勢いよく食べ終える淳一。
淳一「カレー もういっぱい おしまい!」
お店の人にも同じことを言う淳一。
明日美「おかわり?」
淳一「おかわり!」
お店の人に同情されてしまう明日美。
淳一「カレー おしまいでーす!おわりでーす!また、こんど!」
食堂のお土産コーナーで、お店の人から同情されて、貝殻のキーホルダーを渡される。
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浅野家。
瑞江が淳一を探している。
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自販機でコーラを飲み、ゲップを出し満足する淳一。
捨てられている空き缶を並べて、ステップワゴンの助手席に乗り込む淳一。
明日美「城ヶ島行こうか?」
淳一「じょーがしま いこーかー」
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城ヶ島にて。
磯部を歩き回る淳一。
ドライブしながら景色を楽しむ淳一と明日美。
釣り人に近づく淳一。
釣り人「海だね~」
淳一「うみだねー」
「うみだよー」
「うみだかー」
「うみだなー」
「うみだのー」
釣り人「空だね~」
淳一「そらだねー」
「そらだよー」
「そらだかー」
「そらだなー」
「そらだのー」
釣り人「カモメだね~」
淳一「カモメだねー」
「カモメだよー」
「カモメだかー」
「カモメだなー」
「カモメだのー」
釣り人「そうだね~」
淳一「そうだねー」
「そうだよー」
「そうだかー」
「そうだなー」
「そうだのー」
淳一は出航のアナウンスを聞くと、去っていく。
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浅野家。
瑞江の携帯のGPSが城ヶ島大橋を映し出している。
健二「淳一のノート、何が書いてあると思う?」
瑞江「私に見せてくれないのよ。」
健二「車のナンバー。古い車種見つけるとさ、書いておきたくなるみたいでさ。淳一が免許取ったらさ、中古のやつ買ってやれば。俺も中古で我慢するから。」
瑞江「お父さんに聞いてみなさい。」
健二「ダメじゃん。」
瑞江「外出は、もう大丈夫だと思ったのにな~。まさか他人の車に乗っちゃうとは・・・。淳ちゃんの携帯鳴る設定にしておくんだった~!」
健二「鳴らしてトイレに捨てられた携帯何台あるんだよ。ポイポイポイポーイ!」
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船のデッキで、淳一が海を眺めている。
ウエストバッグから、ステップワゴンの黄色のミニカーを出し、デッキの手すりに置いて遊んでいる淳一。
突然、船が揺れる。
その拍子に、ミニカーが海に落ちてしまう。
淳一は海を見てパニックになり手のひらを噛み大声を出し、手すりを乗り越えようとする。
止めに入る明日美を突き飛ばし、手すりに頭を打ち付け血を見ると、また、大声を出す。
慎之助が慌ててデッキに駆け上がってくる。
淳一を後ろから羽交い絞めにして、「じゅんちゃん、大丈夫、大丈夫だから」と必死に抑えようとする。
淳一のウエストバッグが外れ、中身が散乱する。
倒れながらも必死に淳一を抑え込む慎之助。
周りの乗客に「大丈夫ですから、皆さん。彼は、自閉症という障害をもっていて、ちょっとパニックを起こしただけですから。」と説明する慎之助。
ハル子が、散乱したウエストバッグの中身を拾い、淳一の療育手帳を見てハッとする。
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砂浜で穏やかな時間。
砂をすくっている淳一。
ハル子が穏やかに見守っている。
慎之助は、この間まで幼稚園の園長という仕事をやっていたことを明日美に話す。
障害がある子もいて、その中に浅野淳一もいたという。
淳一から毎年年賀状をもらっているのに、大人になった淳一に気が付かなかったと慎之助。
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浅野家。
瑞江の携帯電話が鳴る。
瑞江「淳ちゃん?あっ、園長先生の奥様?」
ハル子「療育手帳を見せてもらったら、浅野淳一君じゃないの。すっかり大きくなっちゃって。」
それを聞いて、ホッとする瑞江。
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民宿に止まるステップワゴン。
一晩泊まることになった4人。
運転試験の問題集を解く淳一。
多動に偏食だった幼稚園時代の淳一を回想する慎之助。
自閉症の説明をする慎之助。
慎之助「淳一くん、お風呂入るか?」
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一緒にお風呂に入る淳一と慎之助。
”城ヶ島の雨”を歌う慎之助。
幼稚園の頃、淳一がパニックになったときに、よく”城ヶ島の雨”を歌って聞かせてあげてたと言う。
当時は、城ヶ島大橋はまだ出来ておらず、代わりに渡し舟を使って城ヶ島に渡った。
その渡し舟にもう一度乗りたいと思い城ヶ島に訪れたが、もう渡し舟はなくなっていたという慎之助。
慎之助の手術痕を見る淳一。
淳一が慎之助の背中を洗う。
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湯上りの明日美とハル子。
幼稚園で障害児を受け入れるようになった経緯を話すハル子。
慎之助は最初は拒んでいたが、補助金も出るようになり、時代の流れで受け入れるようになったとハル子。
淳一を受け入れる前に面接に来た自閉症の子の入園を断ったことが心残りで、慎之助は、自閉症の勉強をするようになったそう。
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民宿での夕食時間。
大広間で、食事をしている。
偏食だった淳一が何でもよく食べている姿に驚く慎之助夫妻。
慎之助は、胃癌の手術の影響か食事が進まない。
後ろの席にいる小さな男の子が、ミニカーを並べて遊んでいる。
それを見た淳一は、ミニカーに興味を持ち近づく。
淳一が、勝手に男の子のミニカーを触り始める。
慎之助が淳一にミニカーを返すように促す。
男の子の父親が、淳一にミニカーを返しなさいと強めに言う。
淳一は「ありがとー ポイッ」と言って父親にミニカーを渡す。
淳一はミニカーを返すと何事もなかったように食事を続ける。
その様子に男の子の父親が憮然とする。
父親が立ち上がり淳一に近づこうとするが、明日美が事情を説明して止めに入る。
父親は「だったら、病院に入れておきなさいよ!病院にいたほうが幸せでしょう。」と厳しい言葉を投げかけてくる。
戸惑う明日美。
父親が席に戻る途中、父親が男の子のミニカーを蹴飛ばしてしまうが、男の子は何も気にしない様子でミニカーを元の位置に戻し、遊び続ける。
淳一は、ひたすら食事を楽しんでいる。
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客間にて。
遠くで花火の音が聞こえる。
慎之助「気にしない。いちいち気にしていると、障害者の親なんてやってられないんだよ。あの両親だって、自分の子供のことで思うところがあるんだ。」
慎之助「障害者にもいろいろ種類がある。障害者が出る確率が1%だとすると、淳一くんを排除したところで、別の障害者が出てくる。障害は誰か担うことになっている。それを健常者は淳一くんが担っていることに感謝しなきゃいけない。」
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香織の家。
詩織の足をマッサージしている香織。
健二から電話がある。
健二「幼稚園の時の園長先生って覚えてる?」
香織「吉田先生ならよく遊んでもらったけど。」
健二「今、吉田先生が淳一と一緒で、ドライブに誘われて、どっかに泊まるみたい。」
香織「すごいね!うちの詩織ちゃんだったら絶対無理だから。」
健二「でも、なんか淳一がいないと変な気分なんだよ。」
香織「ありがとう。」
健二「なんで?」
香織は、優しく詩織を見つめる。
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浅野家。
健二が携帯を閉じる。
瑞江がリビングで寝ている。
幼少期に、淳一に手が掛かりきりの瑞江のことを回想する健二。
健二が小学生の時、「大好きな家族」というテーマの授業をしてる。
健二の作文のタイトルは「ボクのお兄ちゃん」。
障害があるお兄ちゃんが大好きだという内容の作文。
淳一がいない部屋を見て、淳一に対する気持ちを再確認する健二。
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明日美の夢。
砂場の真ん中で、様々な声が聞こえてくる。
目が覚めると、寝床で慎之助が苦しんでいる。
ハル子が心配そうに、背中をさすっている。
明日美が救急車を呼ぶ。
淳一は、問題集を解きながら耳を塞ぎ、体を前後にゆすっている。
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淳一が下着姿で廊下に立っている。
淳一は手のひらを噛んだまま動かない。
明日美が、慎之助の病状を説明する。
明日美「慎之助の病院行く?」
淳一「びょーいんいっても いいよ~」
民宿を出るステップワゴン。
スピードを上げる明日美。
スピードメーターがぐんぐん上がるの見て、淳一がダッシュボードを拳で叩く。
淳一が助手席からハンドルを引っ張ってしまい蛇行する。
車は急ブレーキで止まる。
明日美が怒ると、淳一は耳を塞ぎながら、運転試験の問題「さいこうそくどは 60きろめーとるまいじである。せいかいは まる です。」「くるまは いそいでいるときでも おいこしをするときでも さいこーそくどのせいげんをこえてはならない。せいかいは まる です。」と答える。
車がゆっくり動きだす。
淳一「くりーぷげんしょうとは あくせるぺだるをふまなくても くるまがゆっくり うごきだすことをいう。せいかいは まる です。」
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病院にて。
明日美が、ハル子に駆け寄る。
慎之助は、鎮痛剤で眠っているとハル子。
慌てる必要はなく、再検査は手術を受けた病院ですることに。
主治医からは、城ヶ島への散歩は反対されたが、これが最後のチャンスだと思いハル子は反対しなかったと言う。
そのおかげで、明日美と淳一に出会えたのは、神様からのプレゼントなんだと。
明日美は、好きだった北嶋が白血病で亡くなったことで、看護学校に通うことにした経緯を話す。
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病室にて。
慎之助が目を覚ます。
痛みは治まり、落ち着いている。
淳一が外を見ている。
突然、淳一が慎之助の手を引いて、病室を出ていく。
後を追うハル子と明日美。
慎之助は淳一に手を引かれながら、必死に歩いていく。
まだ暗い中、病院を出て、明日美のステップワゴンの前へ連れていく淳一。
淳一が明日美の手を引き、運転席のドアの前に連れていく。
明日美は、淳一を止めようとする。
慎之助はハル子の反対を押し切り、淳一に付き合ってみると言う。
車に乗る4人。
交差点で淳一が手を伸ばしてウィンカーを出し、道を誘導する。
淳一がいきなりドアを開けるので、急ブレーキを掛ける明日美。
淳一は車を降りると、黄色い手漕ぎボートに向かい歩いていく。
手漕ぎボートを海に出そうと押すが動かない。
慎之助も車を降りて、一緒にボートを押すと水面にボードが滑り込む。
淳一がボートの乗るように慎之助を誘導する。
淳一がオールを動かすと、ボートは岸から離れていく。
暗い海の上に城ヶ島大橋が見える。
慎之助は、”城ヶ島の雨”を歌い始める。
ハル子がその様子を見ながら、この渡し舟で慎之助と出逢ったと明日美に打ち明ける。
朝焼けの中、淳一は進行方向を何度も確認しながら、懸命にオールを漕ぐ。
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病院の駐車場にて。
ステップワゴンの窓に問題集を押し当てながら解いている淳一。
明日美は、若葉マークを淳一に渡す。
若葉マークを車体に貼ったり剥がしたりする淳一。
慎之助とハル子が病院から出てくる。
もう少し検査を受けることになったと慎之助。
淳一と明日美と一緒に帰れなくなったことを残念がる慎之助。
淳一「どらいぶ おしまいでーす。おわりでーす。またこんど!」
慎之助「また、今度!」
淳一「また こんど!」
明日美「また、今度!」
ハル子「また、今度!」
去っていくステップワゴン。
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車内にて。
淳一に、食堂でもらった貝のキーホルダーを渡す明日美。
淳一はキーホルダーを眺めると「ありがとう。ポイポイポイ ポーイ。」と言って明日美に返す。
明日美は、笑顔のまま受け取る。
明日美「楽しかったね~」
淳一「たのしかったねー」
「たのしかったよー」
「たのしかったかー」
「たのしかったなー」
「たのしかったのー」
まとめ
今回は、2009年日本映画の「ぼくは うみが みたくなりました」をご紹介しました。
この映画は、ドキュメンタリー映画ではありませんが、淳一くんが本当の自閉症のようで、圧巻の演技でした。
淳一くん役の伊藤祐輝さんは、休憩時間中もずっと淳一くんを演じていたそうです。
ブログを書いてみて分かったのですが、淳一くんの反応は、いつも一定なのです。
自閉症の淳一くんにとっては、いつも当たり前の反応をしているだけなのに、状況が違うだけで、周囲には異質に感じられてしまうのです。
民宿にいた男の子の父親は、慎之助のかつての姿を象徴しているように感じました。
慎之助は、自閉症を理解し寄り添うことで、障害に対する考え方が変化したようでした。
異質なものを心から排除するのは簡単です。
しかし、現実の世界は様々な人々と出会い、共存する社会です。
考え方1つで、共存への可能性を探ることができます。
是非、たくさんの人に観ていただきたい映画ですね。